ある朝目覚めると僕は歴史ある旅館の畳の上にいた 思い出すと旅の途中行き止まりの壁に引き返させられ ここにたどり着いたんだっけ もうこの先へは行けない どうしていいのかわからなくてただ引き返してここにいる いくつもの時代を生きてきたこの部屋の 優しい木のぬくもりに包まれて 僕の身が軽くなった さあもう行こう 歩き出せる気がした 僕を止めていたのは 僕自身が作り上げた重石だった そう昨日よりも僕の身は軽くなってるんだ 余計な物はすべてここに置いていっていい ここにある長い時間が僕を連れ出してくれる これまでの短い旅で染み付いた不安を除いて 僕の身は軽くなった さあもう行ける 飛び出せるさきっと あの壁はもうなくなっていた 先へ行ける ここにある長い時間が僕を連れ出してくれる これまでの短い旅で染み付いた不安はない あの壁の向こうに広がる世界 どこへ行こう これからゆっくり決めよう
赤峯豪